デザインや住宅性能、立地条件にお金のこと…。家づくりで重視するポイントは十人十色。
でも、これからの家づくりで大切なことはこれらのポイントを表面的に考えるのではなく、長い時間軸で暮らしを立体的に考えること。本当の意味で暮らしを豊かにしてくれるその考え方についてコンセプトのセンチュリーホームに伺いました。
目次
豊かさの本質は毎日の暮らしの中にある
Q.豊かな家づくりとはどんなものだと考えますか?
A.みなさんは豊かな家と聞いてどんな家を思い浮かべますか?「お金をふんだんにかけて建てた豪華な家?」「夏涼しくて冬暖かい快適な家?」…。それらももちろん間違いではないでしょう。でも、本当の豊かさとはデザインや機能性といった表面的なものではなく、その家で暮らす日常の中で感じるものではないでしょうか?例えば、東側の窓から差し込む朝日の気持ちよさで目を覚ます。例えば庭に植えた木が家族と一緒に成長するように育っていく…。当たり前の毎日に些細な幸せを感じたり、時には懐かしさを覚えたりすることこそ、豊かさの本質だと思います。さらに、家づくりを時間軸で見ていくことで、長く暮らせば暮らすほど経済的にも精神的にも豊かさの真価を発揮できると考えています。
ライフプランのひとつとして家づくりを捉える
Q.経済的にはどのようなメリットがあるのですか?
A.家を建てることは人生の中でも大きな出来事のひとつです。時間軸で捉えることによって、これから先どのような家を建てることがライフプランとして正解なのかが見えてくると思います。一般的に住宅にかけられるお金は生涯年収の20%前後と言われています。ただし、晩婚化が進みそれまでにお金を多く使ってしまっていたり、家を建てる時期が遅くなりローンの支払いも後ろにずれてしまったりすると話は変わってきます。最近ではライフスタイルもどんどん多様化してきています。昔に比べて建坪の広いゆとりのある家を希望する人が増えている一方で、生涯年収はそれに見合っては上がっていない現状もあります。それでもできるだけ低予算で家を建てたいと考える人が多い背景には、日本独自の住宅事情に一因があると思います。
現在の家づくりの考え方が生まれた背景
Q.日本独自の住宅事情とはどのようなものですか?
A.現在の戸建て住宅志向が強くなったのは戦後の高度経済成長期のこと。それまでの自分の家を持つのは特別な人に限られていた時代から、全員が持てるものへと一変しました。また、寝るのも起きるのも茶の間で済ますというそれ以前の考え方から、リビング・ダイニング・キッチンといった部屋ごとに役割を持たせる家づくりも同時期に欧米から入ってきたものです。こうした急速な家づくりの考え方の変化に対応するため、当時のハウスメーカーが取り入れたのが合理的なユニット型の工業型住宅でした。その弊害として日本の住宅は消費されるものになってしまい、古くなると価値を失ってしまう側面があります。数十年はもちろん、数百年前の住宅も当たり前に残っていて、こうした古い住宅にこそ文化的にも社会的にも価値がある欧米とはこの点が決定的に違います。
資産価値として残る家と残らない家の違い
Q.これからの家づくりにはどんなことが求められると思いますか?
A.将来の資産価値を維持できる家を建てることだと思います。そのためには家の省エネ性を高めて光熱費などのランニングコストを抑えたり、耐震性や防火性などの住宅性能を強化することで、家そのものの資産価値が下がらないようにする必要があります。ただし日本の場合、こうした工夫で物理的な陳腐化は防げたとしても、社会的な陳腐化により中古住宅の指標を悪くしてしまう現状があります。なぜなら、一般消費者が重視するのは家そのものの価値よりも立地や設備(お風呂やキッチンなど)だから。20年30年経っても物理的には問題なく使える家だとしても、その家に対してレトロでカッコいいとはなかなかなりませんよね。そうした社会的な評価を担保する住宅としてたどり着いたのが、トレンドに左右されず万人に支持されるシンプルデザインです。こだわりを詰め込んだ独創的なデザインの家は、時間とともに流行が変化すれば社会的な評価は下がってしまいますが、シンプルデザインにはそれがなく、欧米のように中古住宅をカスタマイズして価値を上げることも可能となります。しかも、比較的安価でつくれるというメリットまであります!
土地選びも時間軸を基準に考えよう
Q.土地選びに関してはどのように考えればよいですか?
A.どこに建てるかによって将来の資産価値も大きく変わってきます。「職場に近いから」「子どもの学区を考えて」という理由で土地を選ぶ方も多いようですが、そうした一時的、精神的な観点ではなく、もう少し踏み込んでどんな暮らしをしたいかで土地を探してほしいと思います。特に今後、地方都市は人口減が避けられず、数十年後には今の2/3程度まで人口が減ることが予想されています。郊外の新興住宅地などは、現在は土地の鮮度が良いので価値がありますが、将来的には地価が暴落してしまうリスクがあることは考えておかなければなりません。反対に駅や公共施設といった普遍的な社会インフラが近くにある場所や歴史的・文化的な街づくりが進められてきた地域は、資産としての価値が残る土地だと言えそうです。これからは大量供給・大量消費で家づくりをする時代ではありません。どれだけ資産を残せるか、「家づくり=投資」として考える感覚を持ってほしいですね。何より万が一のときに、自分が帰る土地と家があることは何よりの安心感につながるはずです。ぜひ、長い時間を見据えながら家づくりを考えみてください。
過ごす時間の価値を高めてくれるセンチュリーホームのモデルハウス
取材をしてみて3215.jp編集部の感想
時間軸で家づくりを考えてみると、ライフプランとしての住宅へのお金のかけ方や「家づくり=投資」といった、新しい視点と本当に豊かな家づくりのヒントが見えてきました。
過ごす時間の価値を高めてくれるだけではなく、将来の資産価値まで見据えながらシンプルデザインを落とし込んだセンチュリーホームの新しいモデルハウスが現在開発進行中とのこと。
完成は2020年内予定。3215.jpでは今後、その様子も随時紹介していきます。
お話を伺った人
株式会社センチュリーホーム(郡山市安積町)
課長 小野塚浩基さん